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優秀なる者

俺が生まれた時代、人類は科学の発展の末に宇宙に進出していました…
宇宙への進出は様々な可能性と恵みを人類に与え、
より文化を発展させていき、繁栄を約束されると世界中の人々が信じ…
確かに驚異的な速度で進歩したのです。
ですが同時に脅威もあったのだった…それが『敵』の存在だった。
『敵』に関しては。まだその全容は明らかになっておらず、
人類はその遥かより飛来する『敵』との最初の交戦以降、
様々な驚異的困難とぶつかり、人々は数知れない程の命を散らせていった…
だが時が経ち、苦心の末に撃墜した『敵』の解析を様々に進める内に、
彼らの技術を取り込んで、『敵』と対等に戦う為の宇宙用小型戦闘機をも開発したのだ。
そして今…ようやく向上した技術の結果、人類は飛来してくる『敵』から十分に防衛できる程の、
戦力を有す事ができるようになっていた。

俺はそんな時代に宇宙航空学校を卒業すると、
人類を…そして地球を『敵』の手から守る為の軍隊である宇宙防衛隊に入隊していた。
学生時代からのパートナと一緒に、所属になった宇宙ステーションで、
『敵』との交戦用に開発された小型戦闘機に乗り、
地球圏防衛を主な任務とし日々任務に励んでいたのである。
そして今日も…俺らは『敵』と交戦していた。
「ナオト!敵の予想移動コースが判明したわ、今から12秒後にアタックして!」
「わかった!任せてくれ!!」
軍で使う小型戦闘機は、機体の操縦担当者と射撃担当者が別々に働きを分担している、
二手に作業を分担しなければ、もはや人では扱いきれない程の機体なのだ。
ちなみに俺は射撃担当をしている、ほら…彼女の調べ通りに、
狙った『敵』に対し、俺は照準で機影を捉える、そして…弾を撃ち込むのだった。

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堕ちた希望

この大地は今、大いなる危機に晒されていた…
邪悪な魔術師の儀式によって、太古に封印された魔神が降臨し、
その影響で大地の奥深くに閉ざされてきた闇の世界から地上へと、
世にもおぞましい不気味な魔物達が溢れ出し、常に人々の生活を脅かされていく…
もはやこの世界は混沌の渦と化していたのだ。
そんな世になって十四年…我が小国サークスは、突如に魔物らの襲撃を受けたのだった。
元々が大した戦力も持たない国だったのもあるが、
あまりにも唐突で凄まじい数の魔物の数に、満足な迎撃体制がとれてなく、
遺憾ながらも、我が母国は僅か一月もしない間に、王城は堕ち国は滅亡されたのだ…
もう遠くに見える城が焼け落ちていく、王と王妃はきっともう…
俺はその光景を見て己の無力さを嘆く、俺の力が至らないばかりに…
この俺は今はもう滅んだサークス国の守護騎士だった、
何故この一大事に城を離れていたのかというと、つい数刻前の事だった…
サークス王は俺に特命を与えたのである、その特命とは姫を連れて逃げろという内容だった。
「お父様…」
俺の横には悲痛な気持ちで、つい少し前まであの城で安らかに暮らしていた少女が居る、
もはや亡国となった国の姫、ファリーナ様だ…
彼女の容姿は小柄で細い体格、そして綺麗な瞳をし神々しいほどに長く伸ばした綺麗な髪をなびかせて、
その顔立ちにはまだ幼さが残っている、確かに彼女は若い…
確か間もなく14歳の誕生日を迎える予定だった。
きっとこんな世でなければ、14の誕生日には国中で祝ってもらえていただろう、
だが…神の試練なのか現実は、祝ってくれる家族も民も全て失ってしまったのだ。
「姫様…そろそろ」
「わかってます…行きましょう、叔父様の国…ラルカーンへ」
しかし彼女は立ち止まる事を許されない、
何故なら彼女は、混沌とした今の世を救う、たった一つの希望だったのだ…
サークス国王家には古くからある言い伝えが残されている、
それによれば魔の神が降臨し世界が混沌の闇に堕ちた時、
同時に世界を守護する光の天使様が、サークス国王家の血を継ぐ女子として、
この世に転生するそうなのだ、そしてその女子と、
心正しき剣の印を肉体に刻まれた選ばれし戦士が交わり、
天使が転生した女子の身に子を宿した時、その子供こそが世の闇を切り裂き、
いつか再び平穏を取り戻す救世主となるであろう…という内容だったのだ。
そう…ファリーナ姫こそが、古から世界を守護されていた光の天使様が、
人の娘として転生された女子だったのだ。
証として彼女が生まれた日…赤子の背中から白い羽が出現したという、
その羽は一瞬だけ姿を見せたが…それが消えた今もファリーナ姫の背には、
羽の痣が残っていた…ちなみにその自分の運命を、まだ彼女は知らない。
彼女にそれを伝えるのは、14歳の誕生日だと王は決めてたのだ。
だが王は伝える前に亡くなってしまった、だから…俺は無事に隣国の、
サークス王の親類であるラルカーン王が治めるラルカーン国に姫の身柄を送り届けてから、
その事実を話す事に決めていた…ラルカーン王も、その言伝えを知っているからだ。
そうだ俺は守らなくてはならない、いつか彼女の前にその選ばれし戦士が現れ、
契りを結ぶまで…世の希望を!自分自身にとっても大切な女性を守るのだ!
恐らく魔物の襲撃も、言伝えを察しての事だろう…そうだ姫様は狙われている、
俺はファリーナ姫を連れ、目的の隣国の王城を目指してた。
ラルカーン国は、我が祖国と違い兵力が充実したかなりの強国だ…
さすがにここならば、あの魔物共も手が出しづらいだろう、
だから…それまでが長い旅だったのだ。

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偽りの幸せ

強い雨が降っていた…風も強い、そんな嵐のような夜を俺は走ってる、
そして剣を振りかざし異形の化け物共と戦っていた。
「うりゃぁぁぁぁぁぁ!!!」

ザシュッ!!

また一匹、俺は斬り倒す…そして体勢を整えると、また別の一匹に狙いを定める!
ここから先へは一匹も通すわけにはいかない…
俺の剣に、この先にある故郷の村の平穏がかかっていたのだ。
俺はこの先にある村を守る警護団長だった、かつてない魔物の大群に囲まれた村を救うため、
大掛かりの作戦を決行し、今こうして最後の仕上げとなっていた…
傷つき倒れた仲間の為に…俺は自慢の剣技で残された魔物の群れを倒滅していく。
本来なら、追い込んだこの最後の群れを倒すのに、俺一人が奮戦する必要は無かった、
俺は群れをこの場所に誘い込む為の囮役だったのだ。
しかし、あの男…副団長ジュリクの裏切りにより、その作戦は失敗する。
魔物との戦いの流れが我が警護団の有利に傾くまで、
俺の指示通りに戦っていた、だが…この終盤で奴は俺の指示に背き、
自分が指揮させていた警護団員達を引かせてしまったのだ。
くっ…奴は俺の存在を邪魔に思ってた、恐らくここで俺が魔物と共倒れになるのを、
望んでいるのだろう…だがそうは思いどおりにいくか!
俺は…帰らなければいけない、そう…愛しい女の下に、
結婚を約束した女性…サリュとの約束を守り、生きて帰らなければ!
俺はふと首に飾った、この彼女から渡されたお守りである銀の十字架を見つめた…
この戦いが始まる出陣前に、サリュから手渡されたのだった。
「かならず…生きて帰ってきてねか…帰るさ、絶対に!」
俺は再び剣を握り締める…残りは数匹、俺の力量なら問題ない。
全てを倒し、後でジュリクの奴にも罰を与えてやる…そして、
俺はサリュの下に帰り…平和になった村で結婚式を行い、彼女を幸せにするのだ。
そうだ…だから、俺は倒れない、こんな場所で!

ガシャァァァァァァァ──────!!!

落雷が落ちた、そしてそれに合わせるかのように残りの魔物が姿を見せ、襲ってくる!
大丈夫…俺なら、サリュ…待ってろ!俺は戻る、お前の下に!!
「うりゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

雨はまだ降り注いでいく…故郷を守る為に傷つき、そして死んでいった者達と、
本能のままに人を襲い続け、そして倒された魔物達の血を地面から洗い流していくのだった。

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